平和な世界の diary

みなさんの平和を願います

世界はこんなにも美しい

ある日の話

ついつい乗り過ごしてしまったとか、とうとう浮気がバレたとか、これを読んでいる方の中にはピンチを迎えオタオタしている人が2人や3人はいるのではないのか。
そんなことを思うのは、これを書いている当の本人が、仕事に追われ時間がないのに便器の頑固な汚れのようにしつこい睡魔に襲われるという、今週最大のピンチを迎えているからである。

Tシャツ1枚では肌寒く、かといって長袖のシャツだとかすかに息苦しさを感じる今の季節。
いつだったか「デキの悪い子供だね」
と笑われたアイツの出番だろう!
とタンスの奥の奥から七分袖のシャツ引っ張り出した。
いざ!着衣!!


するとどうだ丁度乳首の辺りを虫に食われており、穴の開いた変態シャツに成り果てていた…
そんな残念なお知らせから始めるとしよう。

まだ下の毛も生え揃っていない頃、夜空を見上げ最も強く願ったことは何だろう。


大きくなりたい。お金持ちになりたい。歌って踊れるアイドルになりたい…。


嘘をつけ。廊下を走りゃビンタ
時間に遅れりゃ竹刀でブッ叩かれ
出された給食は残すことを許されず、食べ終わるまで昼休みはなし。
さらに食べられなければ晒し者になることを余儀なくされたあの時代
最も強く願ったのはただ一つ

「学校が燃えること」

だった。


家族が寝静まったのを見計らい、こそっとベッドを抜け出し給食の献立を広げる。
暗闇に目が慣れた頃、明日の献立欄に「トマト」の文字を見つけると、燃えろ、学校よ今すぐ燃えろと本気で願った。


あれから
下の毛が売れ残るほど生えている今、火災の怖さは重々承知している。
どれだけの人間に損害と迷惑が及ぶかを知っている。
その今となってはさすがに燃えてくれとは思わない。乗り越えられそうもない苦難を抱えるたび、オヤジ狩りのようなものにあえばいいのにと願うばかりなのである。


狩ってくれ、わたしを狩ってくれ、いっそのことわたしごと狩れ…。


まるで破壊王のようなことをつぶやきながら、暗い道を選んでコンビニへと向かえば、誰か私を狩ってくれるのだろうか。しかし、終わらぬ仕事を抱えた私が狩られることで、事態は丸く収まるのだろうか。


じきに日が落ち
あたりは暗闇に包まれる
一か八か、行くなら今


だがやめとこう。


コンビニには今朝いったもの。

 

ATMへと走る途中で、この肌寒い中ノースリーブ1枚で頑張る、瞳孔が開いた女性に声を掛けられた。

 

 


「今、幸せですか?」

9時にばちっと用事を済ませああようや終わったと満面の笑みをたたえながらワーッとスロ屋に走って行った5時間後、今度は苦しみきった表情で銀行へと走る女が幸せなわけないだろう。おいババア、声かける相手選べよなどとは心優しき私が言えるはずもなく、「すいません、ちょっと急いでますので…」と残しその場を去ったのだが、しかし神様も意地が悪い。こちとら、ここ1週間ほど真面目に働いていたんだ。勝たせろとまでは言えないが、せめて1度はドル箱を使わせるとか、色気のあるリーチ目を出すとか、残業する社員に、「これで精のつくものでも食べなさい」と上司が2千円置いていくぐらいの、言うなれば一口サイズのご褒美があってもいいと思うのだがどうだろう。


もちろん、真面目とは言っても私なんぞまだまだ…。王監督の真面目指数を100としたら、私はおそらく20前後。飲みに誘われ1次会は参加、「今夜は仕事がありますので…」と2次会を断る程度だから、真面目の世界ではまだまだひよっこだ。しかし、普段なら仕事そっちのけで朝日に向かって突撃するところを、1次会で我慢しているのは自分で言うのもなんだが、ちょっとした成長である。

 

 


空振りを繰り返していた子供が、どうにかボールに当てられるようになったらよくやったと褒めてやり、前へ飛ぶようになったらまた褒めて、ヒット性の当たりが増えてきたら、それもう少しだと褒めてやる、それが人を育てるということだろう。アンタも神を名乗るなら、そうした細かい部分を評価してはどうなのかと、サンドに向かって力説したところで、買い足した千円札が戻ってくるわけではない。雨に打たれながら自宅に戻り、パックリ開いた心の傷に塗り込んだのは、朝書いたスロレンだ。自分で書いた文章を自分で読み、さっきまでクスッとしていたのである。

 

 


そんなこと大っぴらにして、笑いのハードル上げてどうすんだって話だし、嫁には「ちょっとキモい」と言われたが、事実なのだから仕方がない。自分で書いて自分で笑う。究極の自給自足に勤しんでいる今ならはっきり言える。ノースリーブのおばさんに、「幸せだけど、ちょっと寂しいです」と、はっきり言えそうな気がする午後8時。
3万7千円負けました。


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